精油プロフィールブック
精油のプロフィール―その2-
- カモミール・ジャーマン
- カモミール・ローマン
- クラリセーゼ
- グレープフルーツ
- サイプレス
- サンダルウッド
- ジャスミン
- スイートマージョラム
- ネロリ
- パチュリ
- ブラックペッパー
- フランキンセンス/オリバナム/乳香
- ベチバー
- ベルガモット
- ベンゾイン/安息香
- ミルラ/マー/没薬
- メリッサ/レモンバーム
- レモングラス
- ローズアブソリュート
- ローズオットー
精油プロフィールブック
精油のプロフィール―その2-
アロマテラピーは、植物から抽出された精油(エッセンシャルオイル)の香りを利用して、「自然治癒力」を高める自然療法の1つです。
9世紀初頭に、ルネ・モーリス・ガットフォセによってアロマ(芳香)テラピー(療法)と命名されました。
公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ)では、アロマテラピーを次のようにしています。
アロマテラピーは精油を用いてホリスティク(全体的)な観点から行う自然療法である。
アロマテラピーの目的は以下の鳥である。
古代エジプトや古代ギリシャの時代から、世界中の人間が植物の香りを利用してきました。
それは趣味や儀式といった用途だけでなく、医学の面においても大きな貢献をしています。
アロマテラピーの中心となる精油の研究や、香りと人体の相互関係が知れ渡るにつれて、健康の分野や美容、リラクゼーションやスポーツなど、活躍の場は大きく広がっています。
また、近年ではあらかじめ病気を防ぐ予防医学という観点でも、アロマテラピーは注目されています。
さらに、アロマテラピーにはQOL(Quality of Life=生活の質)を向上させる効果もあります。
「なんだか疲れている」「もっとやる気を起こしたい」・・・そんなときに、アロマテラピーで、活力をアップさせてみましょう!
精油はエッセンシャルオイルとも呼ばれ、植物が持つ芳香物質を抽出したものです。
つまり、精油には草木や花、果実などの、植物がそれぞれ個別に持った「におい」の成分が凝縮されているのです。
公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ)では精油を次のように定義しています。
精油(エッセンシャルオイル)は、植物の花、葉、果皮、心材、根、種子、樹皮などから抽出した天然の素材で、有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質である。
各植物によって特有の香りと機能を持ち、アロマテラピーの基本となるものである。
精油は、抽出する植物を世界共通の名称である学名(学術名)で分類しています。
学名は、属名と種小名と呼ばれる「二名法」で構成されており、二名法は分類学の父とも呼ばれるカール・フォン・リンネによって基礎が作られ、植物を科学的に分類できるようにしたものです。
ラベンダーを例に挙げると Lavandula(属名) angustifolia(種小名) となっています。
属名は分類上近い種類のものを取り扱う名前であり、そこへ種小名を加えることで個別の名称となります。
そのため、近い種類の植物の場合、属名は次のようになります。
オレンジ・スイート(Citrus sinensis)、レモン(Citrus limon)
同じ柑橘系植物であるスイートオレンジとレモンは、同じ属性を持つように名付けけられています。
アロマテラピーでは自分が「よい香り」と感じる精油を探すことが非常に重要です。
様々精油に触れ、試すことから始めましょう。
まずは、手軽に使えるティッシュペーパーで香りを試してみましょう。
アロマテラピーの専門店などで、専用の試香紙(ムエット)を使ってもよいです。
精油ビンの多くには、1度に大量の液が落ちることを防ぐドロッパー(中栓)が付いています。
ビンを傾けて、まずは1滴落としてみましょう。
精油の種類によっては、粘度が高く、滴下するのに時間がかかるものもありますので、滴が落ちないからと言って、ビンを振ってはいけません。
大量の精油が落ちたり、周囲に飛び散ったりする可能性があります。
精油の染みたティッシュペーパーなどは、鼻に密着させて嗅ぐのではなく、鼻の近くで振って拡散した香りを吸いましょう。
精油の中には香りが強く、粘膜を必要以上に刺激するものもあるので、体調も考慮しながら香りを楽しんでください。
また、鼻に精油がついてしまった場合は、すぐに拭き取って水で洗い流しましょう。
精油を楽しむ際には、感じた香りを頭の中でイメージとして膨らませます。
思い出した記憶や、思い浮かんだ人、連想した色や天気など、感じたことを書き留めておいてもよいでしょう。
こうして様々な香りと触れ合うことで、精油の理解を深める事が出来ます。
リラックス効果やリフレッシュ効果を得るには、精油が持つ本来の効能は注意すべき点ですが、何より大切なことは、自分が「好きだ」「心地よい」と感じる香りを選ぶことです。
香りが十分に楽しめない場合、基本的な効能があらわれないばかりでなく、体調を崩したり、気分を害したり、、かえって逆効果になる場合があります。
アロマテラピーでは、植物から抽出した純度100%の精油を使用します。
「アロマオイル」などの名称がついているものは、精油と同じでいて、成分が全く異なる類似品のことがあるので、注意が必要です。
インターネット等の通信販売でも精油は購入できますが、初めて購入する際はアロマテラピーの専門店をお勧めします。
店員にアドバイスを貰ったり、店頭で香りを試せたりすることも、大きなメリットでしょう。
精油は光や熱によって劣化するため、遮光ビンに入ったものを選びましょう。
ビンの中にドロッパーがついているものは、1滴ずつ精油が落とせるため便利です。
精油を購入する前に、記載された情報をチェックしておきましょう。
ここでは、公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ)が「AEAJ表示基準適合精油認定制度」で定めている8項目をご紹介します。
・ブランド ・学名 ・抽出方法 ・内容量 ・品名(精油の名前や通称) ・抽出部分(部位) ・生産国(生産地)、又は原産国(原産地) ・販売元や輸入元
空気中の精油成分を空気と共に吸い込むと、鼻の奥にある嗅上皮と呼ばれる粘膜に成分が付着します。
嗅上皮は、嗅毛と嗅細胞によって構成されています。
香りの成分が嗅毛に触れることでにおいに対する感覚が生まれて嗅細胞が興奮し、嗅覚刺激が電気信号(インパルス)に変換されて嗅神経に伝わります。
においの濃さとは、この発生した電気刺激の数によって変わります。
その後、脳にある嗅球という部位で情報が整理され、視床や視床下部を通過して大脳皮質の嗅覚野伝わることで、においとして認識されます。
また、嗅球は記憶や情動に関係した大脳辺縁系という脳の領域にも情報を送っています。
アロマテラピーによって香りが心地よいという感情が生まれると、この情報が大脳辺縁系に伝わって恒常性を維持する働きに変わります。
好きな香りでアロマテラピーを楽しむことは、ストレスや癒し、毎日の疲れを軽減することに役立っているのです。
<脳の働き>
大脳辺縁系は、本能や情動、記憶の中枢であり、ホルモンなどの分泌にかかわる人間にとって大切な部位の総称です。
外部の刺激に応じて、快、不快といった情動反応を起こす扁桃体や、体験や学習によって獲得した経験を処理し、記憶にする海馬など大脳辺縁系に含まれます。
脳の情動伝達については、まだ解明されていないことも多いものの、体調に影響を及ぼす自律神経や、その自律神経の働きを調節し、食欲、性欲、呼吸を管理する視床下部は、香りによって影響を受ける部位の1つです。
(脳の内側面を横から見た図)
(額と平行の断面)
皮膚の表面には皮脂膜や角質があり、層となって外部からの異物を遮断していますが、精油成分はとても小さい分子で構成されており、しかも油に良く溶ける性質(親油性)であるため、付着すると皮膚に浸透していきます。
皮膚に浸透した精油成分は、保湿の作用を補ったり、肌を引き締めたりと様々な働きがあります。
ただし、肌に合わない場合もあるため、皮膚に精油をつける、際には植物油などで薄めたもので、あらかじめ試してから、トリートメントなどを楽しむようにしましょう。
口から入った精油成分は口や喉、食道、胃や腸などの器官の粘膜から血管から入り、血液循環によって体に伝わります。
ただし、精油を飲むことは、消化器への刺激が強いだけでなく、内臓を炒めてしまう可能性があります。
誤飲に注意することはもちろん、うがいに使ったり、他の食品と一緒に摂取したりせずに安全に精油を用いましょう。
また、香りを嗅いだ際には精油成分の一部が体内に吸収され、体の組織や器官を巡って代謝されます。
「精油の定義」を踏まえて、精油の世界をより深く学習しましょう。
精油には水に溶けにくく、以下のような性質があります。
①芳香性:それぞれの精油が、個別に独特な強い香りを持つこと。
②親油性・脂溶性:水にとくにくく、油には良く溶けます。
③揮発性:空気に触れると少しずつ蒸発します。
④引火性:気化した物質と空気と混合したものは、火が燃え移ります。
特に、引火する性質は危険ですので、火のあるところではアロマテラピーを行わないようにしましょう。
天然の物質である精油ですが、このように危険性もあるため、しっかりとした知識を得た上で安全に利用しましょう。
また、精油はオリーブオイルやアーモンドオイルのような、脂肪酸やグリセリンで構成された油脂ではありません。
天然の有機化合物が数十種~数百種集まってつくられたものです。
構成されている成分や、その含有量によって精油の香りや働きに特徴が出てきます。
こうした香りの元となる成分を芳香物質と呼びます。
芳香物質は、自然界において役割があります。
例を挙げると、
①誘因効果:植物が受粉や種子を遠くに運ぶために、昆虫等の生物を引き寄せる効果。
②忌避効果:植物が昆虫などの生物w遠ざけ、食べられることを防ぐ効果。
③抗菌効果:カビや植物にとって有害な菌が発生することを防ぐ効果。
などがあり、こうしたメリットがあるため、植物は芳香物質を生産しているのです。
植物が光合成で、酸素や二酸化炭素、糖などを作り出すことを一次代謝と呼びます。
さらに、このエネルギーを使って、植物の体内で有機化合物が作られることを二次代謝と呼び、芳香物質は二次代謝の結果生れた「二次代謝産物」です。
また、こうした物質は植物全体に行き届くのではなく、特定の細胞の周辺に蓄えられているため、ゼラニウムの場合は葉、レモンの場合は果皮など、植物ごとに抽出部位が異なっているのです。
精油は、多くの人に対して同様の作用があられる場合もあれば、個人の好みや体調、状態によって異なる作用が現れる場合があります。
これも、アロマテラピーの奥深さの1つです。
強壮作用 | 体に活力を与え、元気にしてくれる効果 |
---|---|
消化促進・食欲増進作用 | 食欲を増進し、消化力を高める健胃作用 |
収れん作用 | 皮膚を引き締め、キメ細やかな肌にする作用 |
免疫賦活作用 | 免疫を活性化させ、病気などを予防する作用 |
抗ウイルス作用 | 細菌の増殖 |
抗真菌作用 | カビなどの真菌の増殖を押さえる作用 |
殺菌作用 | 人体に有害な病原体を殺す作用 |
鎮静作用 | 心と身体をリラックスさせ、落ち着きを与える作用 |
去痰作用 | 痰が出るように促す作用 |
保湿作用 | 乾燥を防ぎ、皮膚の潤いをキープする作用 |
ホルモン調整作用 | ホルモン分泌を調節する作用 |
利尿作用 | 尿の排泄を促す作用 |
虫よけ作用 | 虫を遠ざける作用 |
①光毒性
紫外線に反応し、皮膚に炎症を起こす毒性のことを光毒性と呼びます。
グレープフルーツやレモン、ベルガモットなどに含まれているため、日光を浴びる可能性がある場合はトリートメントに使わないようにしてください。
②皮膚刺激
精油の中には、直接肌に触れると痛みや痒みを感じ、炎症や紅班などの皮膚刺激を引き起こすもがあります。特に、イランイラン、ジャスミン、ブラックぺっぺー、ペパーミントなどには注意が必要です。
<原液を皮膚につけない>
<精油を飲まない、摂取しない>
<精油を目に入れない>
<子供やペットの手の届かない場所で保管する>
<成分変化への注意と保管方法>
<人に注意する注意事項>
<肌が弱い方>
<子供>
<病気への禁忌>
<お年寄りや既往歴のある方への注意>
<妊娠中の場合>
精油の抽出にはさまざまな方法があり、同じ植物でも製造方法が異なると、成分の違う精油が出来上がります。
この製造方法は、含まれた成分の特徴や、水に溶けにくいか、熱に対する耐性等の条件により主に3つの製造法から選ばれます。
水蒸気を通じて芳香成分を得る方法です。
装置が比較的安価で、しかも対応する植物が多いため、多く精油の製造法として選ばれています。
原料の植物を蒸留釜に入れ、蒸気を吹き込んだり、水を沸騰させたりすることで、気化した植物の芳香成分が乗ります。
芳香成分を含んだ水蒸気を冷却管で液化され、水槽などにためておくと、水より比重の軽い精油が上層に集まります。
これを集めたものが精油です。
貯められた水にも芳香成分が一部溶け込んでおり、芳香蒸留水(フローラルウォーター)として利用されます。
ローズウォーター、オレンジフラワー、ラベンダーウォーターなど種類も豊富です。
圧力をかけて芳香成分を得る方法です。主に柑橘系の果皮から精油を得るときに使用されます。
ローラーなどの機械で圧搾し、抽出した液体を遠心法で分離させて、精油を得ています。
加熱の工程がないので、低温圧搾(コールドプレス)とも呼ばれます。
熱を加えることによる成分変化ないため、自然の香りや色を得る事が出来ます。
ただし、この製法で抽出する植物は、変化しやすい成分を多く含む上に、不純物が取り除きにくく、劣化が早いことには注意が必要です。
芳香成分を、溶けや種物質に溶かして抽出する方法です。
まず、揮発性の有機溶剤(石油エーテル、ヘキサン)が入った常温の溶剤窯の中に原料となる植物を入れます。
次に、植物のワックス成分や色素等を溶剤に溶かし、原料を取り除いて有機溶剤を発揮させます。
そこで出来上がるのが、「コンクリート」と呼ばれる半固体の物質です。
このコンクリートにエタノール(エチルアルコール)を加えて芳香成分を溶かし、さらにワックス成分の分離や、エタノールの除去という工程を経て最終的に得られたものが「アブソリュート」です。
繊細な花の香りを失わないためローズやジャスミンなどに適した抽出法で、これによって作られた精油がローズアブソリュートやジャスミンアブソリュートです。
生成の過程で溶剤が完全に除去しきれない場合があるため、「そもそも精油とアブソリュートは別物」という考え方もあります。
ちなみに、同様の手法で樹脂などから芳香成分を得たものが、保留剤8芳香を持続させるもの)としても利用される「レジノイド」です。
精油の安全な使い方を遵守することは大切なことですが、これに加えてアロマテラピーを利用する際に基本となるのは、「自己責任の原則」であることを覚えておいてください。
アロマテラピーでは、トリートメントや入浴剤、化粧品など精油を用いて作るものがありますが、そもそも「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(旧薬事法。詳細は本テキストの「アロマテラピーに関する法律」を参照)という法律で、化粧品や医薬品などを無許可で業として製造・販売することは禁止されています。
ただ、トリートメントや化粧品などを「自分で作って自分で使う・ことは「業」には当たらないとして、法律では規制されていません。
そのため、「製造者であり、使用さ派である自分がいかなる責任も負う」ことを予め念頭に置いてから、アロマテラピーを楽しんでください。
精油を使って作った手作りの化粧品などを特定の友人や知人にプレゼント(無償提供)することは、「業としての製造」には当たらないと判断されています。
ただし、使用は「自己責任」であること、プレゼントするものの性質や特徴、使い方をあらかじめ十分に説明する必要があります。
また、こうしたプレゼントによってトラブルが発生し、使用者に危害が及んだ際には、プレゼントした側が製造物責任や民事上での責任を問われることがあります。
「トリートメントをしてみたら、皮膚がかゆくなって痒みが治まらない」「芳香浴をしていたら、気分が悪くなってきた」そんなトラブルが発生した場合は、ただちに精油の使用を中止してください。
皮膚のかゆみや炎症、発疹などは、医療機関で相談し、芳香浴は窓を開けて換気するなど、できるだけ早く対応しましょう。
トリートメントオイルや手作りコスメなど精油を使った製品を自作する場合は、手や指、使用器具を十分に洗浄し、作業環境を清潔な状態に保ったうえでつくりましょう。
作ったものには必ず内容物の情報(作成日や用途など)をラベルに記載し、高温多湿な場所や、直射日光のあたる場所に置かない用注意しましょう。
保存場所は、冷暗所(夏場は冷蔵庫)がオススメです。
水を使ったものは1~2週間で、植物油を使ったクリームやオイルなどは1か月で使い切るようにしましょう。
手作りコスメやトリートメントオイルなどに精油を利用する場合、そのまま皮膚に付けてしますと、とても刺激が強いため、安全な濃度に薄める必要があります。
これを希釈と呼びます。
基材とは、精油を希釈する際に使用する材料のことで、「植物油」、「水溶性の基材」、「その他の基材」に大別されます。
それぞれ異なる作用や特性を持っていますので、精油と基材の性質を十分に学習し、自分専用の化粧品やトリートメントオイルを作り、使ってみましょう。
ちなみに、植物油やミツロウには精製してあるものと精製していないものがあり、それぞれ色や香り、仕上がりや使う際の感触が異なっているため、様々な精油と基材の組み合わせを試して見ましょう。
ここでは、基材として使う植物油100mlに対し、希釈濃度1%びオイルをつくる場合、精油は何滴必要か、という計算式を見ながら、希釈濃度への理解を深めていきましょう。
この式で植物油100mlに対して必要な精油は20滴ということが分かりました。
ちなみに、AEAJのガイドラインでは、ボディトリートメントで使用する精油は1%以下に希釈したものを推奨しており、さらに顔に塗布するのもに関しては、0.1~0.5%を基準としています。
ただ、これは基本として捉えるべきものなので、個人の肌や体調、部位に合わせて希釈濃度を下げるようにしましょう。
顔などの敏感な部位は、ガイドラインよりも濃度を低くしておくことをオススメします。
アロマテラピーでは植物由来の油性基材が多く用いられます。
植物油は「キャリアオイル」「ベースオイル」とも呼ばれ、トリートメントをする際に用いられます。
精油は親油性なのでオイル類によく溶けます。
しかも、植物油は皮膚への浸透性が高いため、アロマテラピーにおいては化粧品やトリートメントオイルの定番の基材なのです。
科名:バラ科
原料植物:スウィートアーモンド
抽出部位:種子
あらゆる肌質に適しており、トリートメントなどに使うと、非常に伸びがよく仕上がります。
主要成分はオレイン酸とリノール酸です。
科名:モクセイ科
原料植物:オリーブ
抽出部位:果実
皮膚への浸透と保湿効果、どちらも高い効果が見込めます。
主要成分はオレイン酸とリノール酸です。
科名:ヤマモガシ科
原料植物:マカダミアナッツ
抽出部位:種子
肌を過剰に刺激しない、皮膚にやさしい成分のため、スキンケアに使われています。
主要成分はオレイン酸とパルミトレイン酸です。
科名:ホホバ科
原料側物:ホホバ
抽出粒位:種子
低温で固形になり、常温で元の液体に戻る性質を持つ植物ロウ(植物性ワックス)です。
ここでは植物油として紹介します。
良く伸び、保湿にも効果を発揮する基材です。
また、生成されたもの未精製のものがあり、使用感が異なります。
精油は親油性のため水には溶けませんが、エタノールで希釈したものは水とうまく混ざり合うようになります。
そのため、ルームスプレーやローションなどの、水で薄める必要がある場合に使用します。
また、保湿や抗菌に効果を発揮する基材や、非常に精油が溶けやすい基材などがありますので、様々な特性を利用していきましょう。
薬局で入手できる精製水、飲料水です。
不純物が少ない方がよいため、水道水は避けてください。
冷暗所、または冷蔵庫で保管し、使用期限内に使い切るように心がけましょう。
ラベンダーやローズ、オレンジフラワー、カモミールなどの花を水蒸気蒸留法で抽出した際に得られるもので、芳香成分が溶け込んだ蒸留水です。
主に、水に溶けない精油を、水と混ぜ合わせるための準備として使うものです。
精油をエタノールに溶かしたものは、水とうまく混ざり合う為、ルームスプレー等をつくる際に必要となります。
アルコール度数の高いお酒であるウォッカや、薬局で購入できる無水エタノールがアロマテラピーでは一般的です。
混ぜ合わせの際に白く偏食することがありますが、使う以上では問題あります。
保湿や抗菌効果のある動物ロウ(動物性ワックス)です。
アロマキャンドルやミツロウクリームをつくる際の基材であり、クリームは使用量を調節することで好みの固さに仕上げることができます。
粘土です。吸収、吸着、収れん、被覆作用があり、主にパックの基材として使用されます。
肌に付着した皮脂や汚れ、汗を取り除くことが出来ます。
カオリンやモンモリナイト(モンモリヨナイト、モンモリオナイト)とも呼ばれます。
皮膚を柔らかくする効果がある無色透明の液体で、ローションの基材として利用されます。
油脂のグリセリドから作られ(植物性のものもある)、水やエタノールによく溶けます。
精製前の天然の塩(海塩、岩塩)は、ミネラルを豊富に含んでいます。
高い発汗作用が期待できるため、主に入浴剤を作る歳の基材として用います。
無臭で白色の、弱アルカリ性の粉末です。
入浴剤や洗剤、脱臭剤、研磨剤、などに含まれています。
酸性の汚れを中和し、皮膚を滑らかにする効果があるため、乳溶剤の基材にぴったりです。
湯あたりを緩和できることも、入浴剤に適した理由の一つです。
保湿作用や抗炎症作用があり、パックやクリーム、ローションの基材に適しています。
アロマテラピーでは湯を使う機会もあるため、耐熱性のあるものを選びます。
足りないものは身近にあるもので代用できることがありますが、精油の影響で劣化し、壊れやすくなってします可能性がありますので、ガラス製やステンレス製、陶製といったアロマテラピー専用の用具をそろえることをオススメします。
第一に、用具は清潔であることを心がけます。
使用後はしっかりと洗い、十分に乾燥させることが基本となります。
ビーカーや保存容器、ガラス棒や小皿などは、洗った後に煮沸消毒やアルコール消毒をしてから乾燥させるようにしましょう。
芳香拡散器は、取扱説明書を確認し、支持された方法での手入れを十分に行ってください。
室内に香りを広げて楽しみます。
心と体のバランスを整える効果が期待できます。
ティッシュペーパーに染み込ませたり、専用グッズを使ったりと香りの楽しみ方は様々です。
自分のライフスタイルに合った方法を選んでみましょう。
沐浴法は、精油を加えた湯に体の一部や全身を入浴させる方法です。
リラクゼーションや温熱効果のある入浴そのものの効果に加え、精油の香りが楽しめることで相乗効果が生まれます。
肩まで浸かる全身浴法や、胸元まで浸かる半身浴法、手のひらを浸ける手浴法、膝下や足首まで浸かる足浴法等の方法が一般的です。
精油成分を鼻や口から吸いこむ方法です。
ハンカチやティッシュペーパーに付けて香りを吸入する方法や、湯に精油を加えて、蒸気と共に芳香成分を吸入する上記吸入法があります。
精油成分が含まれた蒸気を顔に当て、血行を促進させて肌に潤いを与えます。
熱めのお湯に精油を1~3滴加えて蒸気を発生させる点は、蒸気吸入法と同じです。
この時、蒸気が逃げないようにバスタオルをかぶっておくと効果が高まります。
フェイシャルスチームを行なうと、蒸気吸入の効果も得ることができます。
精油を加えたトリートメントオイルを顔や体に塗る方法です。
リラクゼーション効果や血行促進、筋肉のコリをほぐすことに加え、保湿や肌のケアにも役立ちます。
温める湯や冷やす水に予め精油を加え、タオル等を当てた際の効果を高める方法です。
当てるものは、布類ならばタオルでなくても構いません。
洗面器などにためた湯(又は水)に、精油を1~3滴加え、それを掬い取るようにタオルを濡らします。
精油が付いた面を内側にして折り、ねじって水分を絞れば完成です。
精油は香りを楽しむだけでなく、基材と合わせることで様々なコスメをつくることができます。
精油を水溶性の基材に加えたい場合は、予め無水エタノールで溶かしておいてください。
また、保存用容器に移したものは、しっかりと振ってから使うようにしましょう。
人体には、常に体内環境を一定に保とうとする仕組みである恒常性(ホメオスタシス)が備わっています。
アロマテラピーを楽しみ、香りの効果で癒されることは、この恒常性の維持を助け、QOLを高めることでもあるのです。
恒常性は、栄養の偏りや生活リズム、ストレスなどで崩れてしまいます。
まずは、心身共に健康な状態を保つために、栄養・運動・休養という3つのポイントを理解し、バランスをかくことなく実践していきましょう。
生活習慣病やストレスといった現代人にありがちな悩みを軽減し、アロマテラピーを活用しながら健康的な生活を送ってほしいと思います。
食事をする上で大切なことは、食べ過ぎないことと、色々な食品をバランスよく食べることです。
食事を通じて体に取り入れる成分のことを、栄養素と呼びます。
体内で特に重要となるのが、炭水化物(糖質と食物繊維)、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素です。
また、栄養のバランスは、年齢や活動の程度によって変化します。
バランスよい食事をすることで、肥満や生活習慣病を予定することができます。
炭水化物は、消化酵素によって分解される糖質と、消化されにくい食物繊維に分類されます。
<糖質>
含有する食物:お米、パンなどの穀類、いも類、砂糖、果物(果糖)など
異様の中でも、すぐに利用できるエネルギー源の1つであり、脳にとっては唯一の栄養源と言われています。
砂糖などの甘いもの=糖質と考えてしまいがちですが、お米なども糖質に分類されることを覚えておきましょう。
<食物繊維>
含有する食物:海藻類、野菜(特にきのこ類など)、豆類、穀物、果物など
満腹感が出るため食べ過ぎが防止でき、しかも腸のぜん動運動を促進し、便通を善くするため、整腸効果が見込めます。
含有する食物:肉類、魚介類、牛乳、卵、大豆など
筋肉や内臓、血液、ホルモンなど体のあらゆる細胞の材料であり、エネルギー源でもあります。
たんぱく質は消化作用によって約20種類のアミノ酸に分解され、体内に吸収されます。
中でも体内では必要量が合成できないものが9種あり、これが必須アミノ酸と呼ばれています。
そのため、不足分を食事によって補う必要があるのです。
含有する食物:肉類、魚介類、食物性油脂など
脂質は体内で蓄えられており、燃焼させることで効率の良いエネルギー源となります。
中性脂肪、リン脂質、コレステロールなどに大別されます。
コレステロールは、脂質異常症(高脂血症)や動脈硬化などの生活習慣病の原因の1つにもあげられる成分ですが、細胞膜やホルモンの原料でもあります。
摂り過ぎないようにしながらも、不足しないように注意しましょう。
含有する食物:緑黄色野菜、魚類、果物など
ビタミンA、B群(B1、B2、ナイアシンなど)、C、D、Eなど様々な種類があり、栄養素の代謝を助けて正常に体が働くようにする成分です。
体にとっての必要量は少ないものの、ビタミンは体内では合成できないものが多いため、食事で摂取する必要があります。
含有する食物:乳製品、レバー、小魚、海藻類、野菜など
ビタミンと同様に、体の調整を担う栄養素です。
また、骨や歯、血液などの体組織を構成している成分でもあります。
ミネラルはナトリウム、カルシウム、カリウム、鉄、マグネシウム、亜鉛などがあり、体内では合成できないものが多く、食事での摂取が欠かせません。
人は食物を摂取し、栄養素を消化、吸収、代謝することでエネルギーを作り、これを利用して生きています。
糖質、たんぱく質、脂質はエネルギー源であり、それぞれ1グラムあたり糖質=4kcal(キロカロリー)、たんぱく質=約4kcal、脂質=約9kcalのエネルギーが作り出されます。
呼吸や体温調節など、生命維持に必要な最低限のエネルギーが「基礎代謝量」です。
さらに、基礎代謝量に個人の1日の生活に必要なエネルギーを加えたものが「推定エネルギー必要量」です。
下表に年齢や活動量による平均的な推定エネルギー必要量の基準値がありますので、参考にしてください。
年齢(歳) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
Ⅰ(低い) | Ⅱ(ふつう) | Ⅲ(高い) | ||||
生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合。 | 座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買物・家事・軽いスポーツなどのいずれかを含む。 | 移動や立位の多い仕事への従事者。あるいは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣を持っている場合 | ||||
男 | 女 | 男 | 女 | 男 | 女 | |
15~17 | 2,500 | 2,050 | 2,850 | 2,300 | 3,150 | 2,550 |
18~29 | 2,300 | 1,650 | 2,650 | 1,950 | 3,050 | 2,200 |
30~49 | 2,300 | 1,750 | 2,650 | 2,000 | 3,050 | 2,300 |
50~69 | 2,100 | 1,650 | 2,450 | 1,900 | 2,800 | 2,200 |
70以上 | 1,850 | 1,500 | 2,200 | 1,750 | 2,500 | 2,000 |
栄養を摂る事はもちろん、食事には信頼関係の構築やストレス解消などさまざまな意味があります。
栄養バランスや味覚、雰囲気にも注意して楽しく食事を囲みましょう。
健康な体を維持するためには、適度な運動が必要です。
適度な運動は、心肺機能を強化して抵抗力の向上や肥満の解消、生活習慣病の予防など様々な効果を発揮します。
また、スポーツを楽しむことそのものがストレス解消にもつながっているので、運動不足に陥らないよう、日常的に運動をするように心がけましょう。
全身への効果
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各器官への効果
スポーツなどの「運動」と、外出時の歩行や掃除などの、日常生活を送るために必要な「生活活動」を足した運動量を、「身体運動」と呼んでいます。
健康の為の身体運動の量は年齢、体力、生活状況などによって異なります。
まずは、日常生活の中で体を動かす機会を増やしたり、取り組みやすい運動を生活習慣に取り入れたりするなど、毎日、少しずつ体を動かすことが大切になります。
健康であるためには、身体を休めることも大切です。
精神的疲労はストレスによって生じるものであり、肉体的疲労は疲労物質が体内に蓄積されることで生じます。
疲労感は、体の異常を知らせる重要なシグナルの1つなので、軽視しないよう注意が必要です。
疲労は休養によって軽減・解消ができます。
体を休めてゆっくりする『消極的休養』だけでなく、ストレス解消のために軽い運動をしたり、趣味、レクリエーションを楽しんだりする『積極的休養』も含まれています。
消極的休養には、大脳を休ませる効果が、積極的休養には体を動かすことで疲労蓄積を予防・解消する効果が含まれています。
休養の方法はさまざまですが、特に重要な休養法が睡眠です。睡眠は、生命維持に必要な部位を除いて、脳を休ませる効果があると言われています。
睡眠中は90分ごとに『レム睡眠』と『のんレム睡眠』が繰り返されています。
【レム睡眠】(REM睡眠) 急速眼球運動がある眠り | ・明け方になると覚醒準備に入り、レム睡眠が増える。 ・筋緊張の低下、不安定な自律神経、血圧の変動。 ・記憶を選別し、学習を強化する。 |
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【ノンレム睡眠】(Non-REM睡眠) 急速眼球運動のない眠り 深い眠りは、除波睡眠と呼ばれる | ・眠りの深さが4段階に区別される、眠ってすぐの時間帯が、眠りが深い傾向にある。 ・脳の働きが大幅に低下。 |
睡眠は長さよりも質が大切です。
就寝前は心身への刺激を控え、リラックスして眠りましょう。
芳香浴を楽しむなどしてリラックスした状態を導入しましょう。
アロマテラピーを、疲労回復やよい睡眠のために役立てましょう。
生活習慣病は、かつては『成人病』と呼ばれていましたが、発生年齢の若年化が進み、『生活習慣病』と名称を改められました。
日本人の死因として良く挙げられるが、がん、新疾患(心筋梗塞、狭心症など)、脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)に加え、動脈硬化症や糖尿病、高血圧症、脂質異常症などが生活習慣病に含まれています。
生活習慣病は、一般的には食生活、肥満、過度の飲酒、ストレス、運動不足などによって、内臓脂肪が過剰に蓄積することが原因です。
生活習慣病の予防を踏まえ、健康的なライフスタイルを考えてみましょう。
肥満とは、単に体重が重いだけでなく、皮下や内臓にたまった『体脂肪』の割合が高いことです。
過食・偏食などの食生活や運動不足などの生活環境はもちろん、遺伝にも一定の影響を受けています。
肥満の判定にはBMI法(Body Mass Index:体格指数)が使われ、数値が25以上を肥満とし、さらに22を最も病気の少ない数値としており、18.5~24.9の数値が適正範囲内です。
BMI計算式:体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
標準体重=身長(m)×身長(m)×22
メンタルヘルスとは、心の健康のことを指します。
メンタルヘルスを損なってしまい、極度の緊張や不安が続いてしまうと、精神面だけでなく心身症(胃潰瘍、頭痛、ぜんそくなど)を引き起こし、体にも異常をきたし始めます。
体の調子と気分は無関係のものではありません。
環境の変化や人間関係など、どのようにストレスと付き合うべきなのでしょうか。
外界からの刺激を生体に反応し、心身に緊張が生じた状態がストレスです。
この原因となるものがストレッサー(ストレス源)です。
人間関係や将来への不安、社会的・心理的要因だけでなく、厳冬や猛暑などの環境的要因もストレッサーの1つです。
人間関係や将来への不安などの社会的・心理的要因だけでなくストレスによって生じるネガティブな気持ちが解消できずにいると、精神と肉体のどちらにも悪影響となります。
そのため、気分転換や軽い運動、趣味、入浴、リラクゼーションなどの、ストレスのコントロール方法を自分なりに習得することが大切になるのです。
アロマテラピーを楽しんで、単純に『良い香り』と感じるだけでも、ストレス軽減につながり、心のバランスを整えてくれます。
嗅覚から精油の刺激を受けることで、様々な神経伝達物質が脳内で放出され、私たちの体にリラックス効果を与えてくれるのです。
また、免疫力を高める芳香物質があることが分かっってきています。
アロマテラピートリートメントなどによる触れ合いでは、香りによるリラックス効果だけでなく、人との触れ合いによる安心感が加わります。
ライフステージは、人間の一生を、心身の成長や社会的な役割で段階分けしたものです。
幼年期、少年期、青年期、壮年期、中年期、高年期と、体や周囲の環境、生活スタイルなどの様々な要因によって、考え方や感じ方が変化します。
このライフステージに応じたアロマテラピーを行うことでストレスが解消され、生活の豊かさとQOLの向上につながります。
女性は男性十比べて、ライフステージによって大きく体調が変化するといえるでしょう。
エストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンの分泌が、初潮から閉経にわたって変化続けている為です。
特に、20~30代で分泌のピークを迎えるエストロゲンは、血中コレステロールの抑制や骨の強化、皮膚と粘膜の乾燥予防などの働きを担っています。
しかし、40代後半に差し掛かって閉経を経ると、エストロゲンの量が低下し、上記の働きが弱まってしまいます。
そのため、日々の生活習慣に向かい合い、健康的な生活を送れるように意識することが大切なのです。
アロマテラピーは、1930年代にフランスの科学者ルネ・モーリス・ガットフォセによって造語された言葉です。
しかし、ハーブや横行植物、精油を用いて香りを楽しむことは、遠い昔から様々な文明で行われてきたことでした。
紀元前3000年頃の古代エジプトでは、王(ファラオ)が神に香りを捧げている様子が神殿などの壁画に残されています。
死者の魂が政党に導かれるよう、神への捧げものとして香りが焚かれていました。
用いられていたのは乳香(フランキンセンス)や没薬(ミルラ)などの樹脂で、「薫香」として用いられました。
当時のエジプトでは乳香や没薬は産出されず、入手法は周辺国との交易に限られていたため、大変な貴重品でした。
ちなみに、香料等を表す「perfume」という言葉は、ラテン語の「per(通して)」と「fumem(煙)に由来しています。
古代エジプトには、魂は再び現世に復活するという独特の死生観がありました。
その時の肉体を用意するという意味でミイラが作られています。
ちなみに、遺体からは殆どの内臓が取り出され、香料によって清められて別の器で保管されました。
さらに、遺体の中には植物や香料を詰めて、防腐、殺菌を施していました。
アーユル(Ayus=生命)ヴェール(Veda=知識)はインド、スリランカを中心に現在も行われている伝統療法で、3000年以上の歴史を持つと推測されています。
具体的な生活豊方法はもちろん、宇宙観や自然観などの哲学も含まれた療法となっています。
古代ギリシャ人は香りを非常に好んでおり、詩人たちの歌にもその様子が描かれています。
当時は、植物をワインやオイル類に漬け込んで香りを移したり、植物そのものをすりつぶして粉末にしたりといった手法が後療製造の中心だったようです。
ここでは、アロマテラピーを学ぶ上で知ってほしい人物を紹介します。
生没:紀元前460~375年頃
職業:医学者
業績:神官が呪術的な手法で病気に対抗していた時代にあって、病気を自然現象の1つとして捉え科学的に分析した人物です。
現代にも通じる医学の基礎を築いたため、「医学の父」と呼ばれています。
著書:「ヒポクラテス全集」を著しました。
生の芳香植物や乾燥させたものを燻蒸させることを、治療法の1つとして紹介しています。
生没:紀元前373~287年頃
職業:哲学者
業績:科学的な植物の分類に取り組み、「植物学の祖」と呼ばれました。
著書:著書である「植物誌」には、植物が500種程乗せられています。
もちろん、香料として利用された植物についても記述があり、使用法や製造法についての情報にまで触れられています。
古代ギリシャの医学や薬学は、古代ローマに受け継がれ、さらに発展しました。
ローマ人はギリシャ人と同様に、香りを宴会や儀式に用いるものとして大切にしました。
特にバラは人気の香りであり、香油を体に塗ったり、鮭の風味づけに使ったりと、さまざまな用途で使われました。
都市政策によって作られた公衆浴場・テルマエも香りと無関係ではありません。
ローマの代表的なテルマエであり、現在排斥になっている「カラカラ浴場」では、垢すりやマッサージにも香油が用いられていたそうです。
古代ローマの時代において、植物や香りの研究を進めた人物にはディオスコリデスとプリニウス、そしてガレノスがいます。
生没:40~90年頃
職業:医学者
業績:皇帝ネロの軍医として活躍
著書:植物の生息地や効能だけでなく、薬として用いるための調合といった情報まで掲載された「マテリア・メディカ(薬物誌)」を著しました。
記載された植物は600種に及びます。
「マテリア・メディカ」は、古代ローマはもちろん、その後の文化圏でもおよそ千数百年にわたって植物薬学の古典として重用されました。
「マテリア・メディカ」は写本されることでその情報が伝えられており、現存するものは、「ウィーン写本」が有名です。
これには、400枚ほどの彩色された植物の絵が添えられていました。
生没:23~79年頃
職業:博物誌家
著書:77年には、自然への認識が凝縮された「博物誌」を著しました。
全37巻という大作であり、その内容は植物にも触れられているものです。
生没:129~199年頃
職業:医学者
業績:17世紀に至るまで、医学の権威として崇拝される存在であり、アラビア医学にも大きな影響を与えたギリシャ人の医学者です。
ヒポゥラテスの医学をさらに発展させ、学問としての医学の基礎を作りました。
コールドクリームなどの天然素材の製剤は「ガレノス製剤」と呼ばれ、中には、現代にまで受け継がれた処方もあります。
中国では薬物について書かれた本は「本草書」と呼ばれています。2~3世紀頃、漢の時代から編纂されていたものがあります。
5世紀末には、「神農本草経」を原本として、陶弘景(456年~536年)が730種の薬石を記した「神農本草経集注を著しました。
これは、東洋の薬草学においては西洋の「マテリア・メディカ」のような存在です。
神農とは、中国の農業神の名前です。漢の時代になると、神農とは、伝説上の皇帝である炎帝のことを指すと解釈されるようになりました。
西ローマ帝国崩壊後は、イスラム帝国が文化や科学を発展させ、8~12世紀にかけてアラビアの医学や科学が隆盛期を迎えました。
ヒポクラテスやガレノスの著書はアラビア語に翻訳され、さらに周辺地域の医学を取り入れることでユナニ医学が発展しています。
アルコールの発明やアラビア式蒸留法が確立されたのも、この時代です。イスラム帝国の医師の中でも、後の医学に大きな影響を与えた人物が、イブン・シーなーでした。
生没:980~1037年頃
職業:哲学者、医学者
業績:数学や天文学、文学などに通じた人物で、医療分野において治療の為に芳香蒸留水を使いました。
著書:17世紀頃までヨーロッパの医学大学の教科書に使われていた。「医学典範(カノン)」を著しました。
中性ヨーロッパでは協会や修道院を中心に僧院医学(修道院医学)と呼ばれる薬草中心の医学が実践されていました。
その中でも、現在のドイツ植物学の基礎を築いたともいわれるほどの情報を残した人物が、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンです。
生没:1098~1179年
職業:修道女
業績:治療の為にハーブを活用し、ラベンダーの効能を最初に説いた人物でもあります。
彼女は現代でも通用する程の薬草の採集・保存に関する情報を残しました。
また、この頃から各地で医学校が開設され、特にイタリアのサレルノとフランスのモンペリエの学校が有名な学校となりました。
1096年に始まり、その後200年間継続された十字軍の遠征は終わったものの、都市や道路が発達し、ヨーロッパとイスラム世界の交流が促されました。
医学校の開設が急速に進んだ背景には、ヒポクラテスやガレノスの知識を発展させてきた医学書などがラテン語に翻訳されたことが挙げられるでしょう。
医学に関する知識だけでなく、ヨーロッパに蒸留法が伝えられたのもこの頃です。
ちなみに、当時のヨーロッパではペスト(黒死病)が流行しており、対策の一環として、街頭でハーブやスパイス、樹木、樹脂による燻蒸が行われていました。
ルネサンスとは、ギリシャやローマで起こった文化活動で、その名は「再生」や「復興」を意味します。
14世紀のイタリアに始まり、ヨーロッパ各国に広まると、さまざまな芸術・文化が開花し、香料への関心が高まりました。
また、この時期のヨーロッパは三大発明(羅針盤・火薬・活版印刷)によって大きな変革を迎えた時期でもあります。
当時、オスマン帝国が地中海の貿易を支配していたため、高い関税がかけられて香辛料などの価格が高騰しました。
羅針盤によって遠洋航海が可能となったため、新しい交易ルートが開拓されていき、その副産物としてアメリカ大陸やアフリカ大陸から、バニラやチリ、カカオなどの新しい植物がヨーロッパに持ち込まれました。
ルネサンスは医学にも影響を与えており、薬用植物の書物が普及するに従ってハーバリ(ハーブ療法士)と呼ばれる人々が登場しました。
イギリスでは、治療にハーブが盛んに用いられたことが、数多くのハーバリストが登場する土壌となりました。
ハーバリストの中でも代表的な人物を紹介していきます。
生没:1545~1612年
著書:「The Herball(本草書)」を著しました。
生没:1567~1650年
著書:「広範囲の本草学書」)を著しました。
生没:1616~1654年
著書:薬草学に占星術の考え方を加えた「The English Physican」を著しました。
大航海時代以降、航海には植物学者が同行するようになり、未知の植物を採取して本国に紹介する、プラントハンターと呼ばれる人々があらわれました。
ジェームス・クックのエンデバー号に同乗したジョセフ・バンクスは有名なプラントハンターです。
彼はオーストラリア探索で持ち帰ったユーカリやミモザなどをヨーロッパに紹介しました。
現在、私たちが用いている植物の学名は、属名と種小名で構成される「二名法』と呼ばれるものです。
この分類体系の基礎を構築したのが、カール・フォン・リンネです。
アラビアの蒸留技術を得たヨーロッパでは、香料として精油が用いられるようになりました。
精油は、かつては治療薬としても使われていたようです。
一般的に知られているオー・デ・コロンという言葉は、フランス語のEau de Clogne(ケルンの水)が由来となっています。
元々は、17世紀末に、イタリア人のジョヴァンニ・パオロ・フェミニスが、当時イタリアで流行していた「アクアミラビリス)素晴らしい水)」をドイツのケルンで販売し、話題となったことで、いつしか「ケルンの水」と呼ばれるようになりました。
香料の文化はフランスにも伝わり、ルイ(Louis)14世(17~18世紀)は自分好みの香料を作る専属の調香師を雇ったり、産業育成政策としてイタリアから香料生産に優れた皮手袋職人の家族を南フランスのグラースに住まわせ、香り付きの皮手袋を作らせたりしました。
その後、香料産業は手袋と分離し、グラースは香料産業の中心地として発展し、世界的に知られる「香水の都」となりました。
世紀に入ると、薬用植物から有効成分を抽出・分離させる技術が発展するだけでなく、化学工業として石炭や石油なあどの鉱物から同様の成分を合成させる時代に突入しました。
そして、20世紀になると抗生物質が登場し、近代医学は急速に普及していきます。
ただ、伝染病や感染症が減少する一方で。心身症や生活習慣病が増加します。
こうした時代だからこそ、ストレスをうまくコントロールし、アロマテラピーのような自然療法が見直される必要があるのではないでしょうっか。
1937年になると、ガットフォセの著書のタイトルが由来となって、アロマテラピーという言葉が広がり始めます。
アロマテラピーの源流となった人物なので、しっかりと覚えておきましょう。
生没:1881~1950年
職業:科学者
業績:フランス人の科学者。実験中の事故で負ったやけどが、ラベンダー精油によって治癒したという経験から精油の治療効果に注目して研究を行っています。
著書:1937年に「Aromatherapie」を著しました。
さらに、理論だけでなく、実際にアロマテラピーを治療として用いた人物がいます。インドシナ戦争において、精油を薬剤として、科学的領域から研究を進めたのが、ジャン・バルネです。
このため、フランスでは精油を薬として用いる方法が研究され、今に至っています。
生没:1920~1995年
職業:医師、軍医
業績:第二次世界大戦とその後のインドシナ戦争に従軍。負傷者たちの治療に、精油から作った薬剤を使いました。
著書:1964年に「AROMATHERAPIE(植物=芳香療法)」を著しました。インドシナ戦争での治療の成果がまとめられています。
アロマテラピーは、イギリスでさらなる発展を遂げます。治療としてのアロマテラピーではなく、心の癒しに注目したアロマテラピーは、イギリスのテラピストたちに大きな影響を与えました。マルグリット・モーリーによって作り出されたトラブルが生じた部分だけでなく、心を含めた全人格的なものにアプローチする理論を、ホリスティックと呼ぶようになりました。
生没:1895~1968年
職業:生化学者
業績:インド、中国、チベットの伝統医学や哲学を研究し、薬理作用を目的とせず、精神と肉体のバランスを整えるという手法を考察しました。
その際には、精油を加えた植物油でマッサージを行っています。
著書:1961年(Le capital’Jeunesse’(最も大切なもの・・・若さ)」を著しました。
また、1960~1980年のイギリスでは、シャーリー・プライス(Shirley Price)、ロバート・ティスランド(Robert Tisserand)たちがアロマテラピースクールを開設し、多くの専門家を育てました。ここでは、マルグリッド・モーリーが編み出したホリスティック。アロマテラピーの技法や考え方が受け入れられていました。美容サロンや医療現場、福祉施設など、アロマテラピースクールを卒業したセラピストたちはこの技法をおおいに活用し、大衆化を実現しています。
アメリカ・コロンビア大学のリチャード・アクセル(Richard Axel)博士と、同じくアメリカにあるフレッド・ハッチンソン・がん研究センターの、リンダ・バック(Linda Buck)博士が2004年にノーベル医学生理学賞を受賞したのは、「嗅覚システムの組織とにおいの受容体」の研究であり、人がどうやってにおいを識別・記憶するか、というシステムの解明でした。研究の結果、においの受容体を作る嗅細胞の遺伝子数は、全身の約3%を占めることが発見されています。
日本でも、香りが心理に与える効果を研究した人物がいます。アロマテラピーの学術的な研究のパイオニアであり、イギリスのテラピストとも親交がありました。
生没:1924~2012年
職業:東邦大学名誉教授
業績:ラベンダーやジャスミンの香りを感じることで生まれる鎮静作用や興奮作用を、随伴性陰性変動(CNV)と呼ばれる特殊な脳波を使って実証しました。
香道は、香りを楽しむ伝統芸能です。
平安時代に貴族の間で香を焚いて楽しむことが始まり、それが室町時代に至るお文化人である公家の三条西実隆が開祖となり、高木を焚いて香りを楽しむ「聞香」などが芸道として確立されました。
三条西実隆の「御家流」、志野宗信の「志野流」は、現在でも継承され続けています。
ちなみに、日本と香りの関係は、推古天皇3年(595年)に淡路島に高木(沈香)が漂着したことにはじまります。
これは、「日本書紀」や「聖徳太子伝暦」、「水鏡」等に記述されが残されています。
明治時代の初期から、北海道の北見市が中心となってハッカ(薄荷)の栽培が始まりましたが、ハッカの栽培は昭和45年頃までに盛んに栽培がおこなわれており、香料原料として採取されました。
ラベンダーは、フランスから種子を購入して始まったもので、昭和12年頃から香料会社が化粧品に利用するために栽培がはじめられました。
日本の各地でテストの栽培が行われ、北海道の富良野地方の適正が硬いことがわかりました。
研究の振興や品種改良等のノウハウが富良野に蓄積されているため、現在でもラベンダーの産地として有名なのです。
日本でのアロマテラピーは、ロバート・ティスランドの著書「アロマテラピー(芳香療法)の理論と実際(The Art of Aromatherapy)(1985年出版)の翻訳によって始まりました。
1990年代になると、バブル崩壊や阪神淡路大震災等が背景となり、人々の「癒し」を求める声が表面化しました。
そこで、1996年4月に、アロマテラピーの健全な発展と普及を図ることを目的とした、非営利団体(任意団体)「日本アロマテラピー協会(AAJ)が設立されました。
AAJは、「アロマテラピーの定義』を定めたり、資格認定制度を始めたりと、日本におけるアロマテラピー普及の一助となりました。
AAJは、2005年には「社会法人 日本アロマ環境協会」(AEAJ)に、2012年4月には「公益社団法人 日本アロマ環境協会」(AEAJ)になりました。AAJの事業は、AEAJに継承されています。
アロマテラピーの普及に関する唯一の公的法人であるAEAJは、自然の香りある心地よい環境(アロマ環境)を推進し、アロマテラピーの健全な普及と啓発活動に努めています。
四季折々の自然に公園や街路で触れたり、精油の香りを室内で楽しんだりすると、癒しが心が落ち着くように感じられます。
自然の香りはもちろん、精油などによる室内の変化を含めて「自然の香りがある豊かな環境」は、AEAJによって「アロマ環境」と定義されています。
アロマテラピーにとって、精油は必要不可欠なものです。
植物の恵みがある精油を、将来的にも利用できる湯に、植物や自然環境との共存を意識する必要があります。
植物は他の生物だけでなく地球環境と密接に関係していますが、現在社会においては地球環境に大きなほころびが生じています。
そのため、環境問題をしっかりと捉え、適切に対応していくことが求められているのです。
自然環境との共存ができるよう、日々努力を欠かさないようにしましょう。
アロマテラピーにとって、現在あるアロマ環境を保全し、さらに生み出していくために、地球環境の問題点を知り、身近な問題であることを理解していくことが重要なのです。
地球は、恒星である太陽の周囲を回る惑星の1つであり、太陽との距離によって適度な寒暖をもった星です。
水は海と大地を循環して生命の誕生を生み出す一因となり、大気の層は有害な紫外線を吸収し、ある程度の太陽エネルギーを取り込んで温室のような効果を生み出しています。
さまざまな要素が組み合わさることによって、美しい水と緑の惑星が今ここにあるのです。
ただし、こうした環境要素は条件によって変化し、繊細で壊れやすいよいう一面があることを忘れないでください。
太古の地球は、二酸化炭素(炭酸ガス)の割合が多く、酸素が微量という大気であり、しかも気温が非常に高い環境でした。
生物にとって過酷な環境であった地球に、植物が発生したことで状況に変化がみられるようになります。
植物は、光のエネルギーを利用して二酸化炭素とミスから糖と酸素を作る「光合成」を行う生物です。
光合成を続けることで次第に二酸化炭素が減少し、酸素が増加したため、現在の大気となったのです。現在、大気中の酸素の割合は約21%、二酸化炭素は0.04%とされています。
地球は、生物たちが長い時間をかけて環境を変化させ、生物たちもまた環境に適合するように進化を繰り返す、「地球と生命の共進化」を遂げた奇跡の星と言えるでしょう。
酸素、水、光や二酸化炭素、そして適度な気温・・・この中のどれかが欠けても植物は生きることが出来なくなります。
しかし、一方的に地球環境に依存しているわけではなく、光合成によって大気のバランスが保たれたり、葉の蒸散が気温と湿度に影響を与えたり、根が土を保持することで土壌を頑丈にしたりと、植物もまた地球環境を助けているのです。
植物は他にも、堆積した落ち葉が分解されて栄養になるなど、周囲の環境を穏やかにして生物にとってより良い環境作りを進めているのです。
さらに、植物の葉や実は生物の食料でもあります。
もちろん、これは人間にとっても同様です。
また、木材や綿、麻等の資材として利用することもできますので、現在社会においては人間の衣食住にも密接にかかわる存在なのです。
植物は、花の香りに誘われてやってくる虫や鳥たちに受粉を助けてもらったり、遠くにまで種子を運んでもらったりすることで生息地を広げます。
食用の作物や、医薬の原料となる植物の多くが、受粉に虫や鳥の助けを必要としています。
このように、植物は様々な生物に支えられ、多様な生態系を保つうえで重要な役割を担っています。
大気や水、土壌だけでなく、異なる生物ともお互いに深く関係しながら、非常に多くの生物が多様な生態系を作り出しています。
これを「生物多様性」と呼び、生物の生存基盤になっています。
生物多様性には、有害生物や病気の発生による生存基盤の崩壊を抑制し、環境変化による危機に際しても他の生物が、自然環境における役割をカバーできる仕組みになっています。
多様な生態系は遺伝子の宝庫であり、これからの医療や科学の発展には必須のものです。
現在、地球環境が少しずつ破壊されています。
森林伐採や大気や水の汚染によって食物連鎖や生存基盤が破壊され、環境に対して大きなダメージを与えています。
アロマテラピーの基本となる精油は、植物の恵みです。
取り返しのつかない結果を予防するために、そして植物の恵みが未来になっても得られるように、地球環境を保護することが重要です。
かつての日本人の暮らしは、食事はもちろん、建物や家具、道用品、衣類に至るまでが自然の恵みによって得られる素晴らしい文化でした。
布などを染める染料や、病気やケガに使う薬草も、もちろん自然由来のものです。
また、自然には、人の手が入ることで豊さを増す。場合もあります。
人里に面した里山では、樹木が蒔きや炭として、落ち葉は肥料として活用されます。
地面に光が届くことで木々が増え、草花や小さな虫などが集まるようになりました。
このように、人の手によってよりよい自然環境となるものを「里地里山」と呼びます。
昭和の中ごろになって急速に都市化・近代化が進むと、道路や鉄道が整備されて、都市に人口が集中しました。
そして、家電製品の登場によって暮らしが豊になると、人々はさらに便利で快適なものを求めるようになります。
その結果、日本人は「大量生産・大量消費・大量破棄」の社会へ変わってしましました。
高度経済成長や都市化・近代化の過程で、泰輝や水の汚染による公害が発生し、多くの人々を苦しめました。自然破壊が進み、地球環境の悪化が問題視されるようになりました。
産業改革後、化石燃料(石炭、石油など)を大量に使用した結果、温室効果ガスが大気中に放出されるようになりました。
それに加えて、森林が減少したことによる二酸化炭素の増加が、温室効果ガスの層を強めてしまいました。
結果、熱がこもって地球の気温が全体的に上昇してしまう現象を、地球温暖化と呼びます。
これによって北極や南極の氷が解けて海面が上昇するだけでなく、異常気象(気候の熱帯化、集中豪雨や台風の増加、水不足9、生態系への影響(森林の消失、砂漠化)、感染病の流行(デング熱やマラリア)等が危惧されています。
「大量生産・大量消費」により、廃棄物(ゴミ)の排出量が大幅に増えました。
家庭ごみだけでなく、工場や建設現場などの産業活動によって生じる産業廃棄物というゴミも出ています。
日本のゴミは紙ゴミや、食べ残しを含む台所ゴミが中心であり、膨大な量が排出されています。
森林破壊や海や川の汚染などの地球環境の問題によって生物多様性が危機に陥っています。
現在、絶滅する生物(絶滅種)や、絶滅の危機を迎える生物(絶滅危惧種)が増えています。
これは、人間活動による森林や干潟の開発、乱獲、人間が持ち込んだ外来種による生態系の変化、農薬、里地里山が荒廃したことによる絶滅、農薬、酸性雨などの、人間活動によって生じた問題なのです。
輸出のための大量伐採や、牧場への転用、焼畑、蒔炭材の採取の増加などで、森林面積が減少が深刻化しています。
二酸化炭素の吸収が減ることで、地球温暖化が促進されてしまうだけでなく、野生生物の生息地の喪失や、保水力の減少による洪水の増加などが問題として挙げられます。
河川や海には自浄作用があり、一定量の有機物を分解できるのですが、大量の産業排水や生活排水を浄化することはできません。
限界を超えた有機物の含有は、赤潮や青潮といった現象につながり、その結果魚介類の生育が阻害される事があります。
また、生物に蓄積されやすい有害物質が海や川を汚染してしますと、それを食べた生物にも毒素が取り込まれることとなり、生態系に深刻な影響を与えてしまいます。
都市の緑が減少し、アスファルトに覆われている事や、建物や車からの放熱が原因となって、都市部の気温が周辺地域に比べて異常に上昇する現象です。
そのため、熱中症などによる都市で暮らす人々への健康被害だけでなく、生態系への影響や、エネルギー使用量の増加などが問題視されています。
日本は、健康被害を伴った大気汚染を改善してきたという過去があります。
日本自体の大気汚染についてはあまり問題ありませんが、大陸の東側に位置することから有害物質が風邪で運ばれ、環境基準を超えるSPM(浮遊粒子状物質)やPM2.5(微小粒子状物質)による汚染が広がっています。
冷蔵庫やエアコンの冷房等に使用されたフロンなどの化学物質が大気中に大量に放出されることで、オゾン層の破壊が進みます。
オゾン層には、太陽からの有害な紫外線を吸収して生態系を保護する役割があるので、オゾン層が破壊されてしまうと紫外線が地球上に多く降り注いでしまい、健康被害(皮膚がん、白内障など)や動植物の発育を阻害する結果となります。
工場や自動車の排気ガスに含まれる硫黄酸化物や窒素酸化物が、塩酸や硫酸、硝酸に変化したものが雨に含まれて地上に降る現象です。
また、霧や雪として地上に降ることもあります。
湖や河川の酸性化による魚類の生育不全や、土壌の酸性化による森林の立ち枯れ、大理石などの彫刻の破損などが問題として挙げられます。
2011年3月11日発生した東日本大震災では、多くの人々が犠牲になり、家や田畑、工場などが広範囲にわたって甚大なダメージを受けました。
地震によるさまざまな被害に加え、原子力発電所では事故が発生し、放射性物質による汚染が拡大しました。
そのため、災害廃棄物の処理や、被災者の健康管理などの取り組みについて、これからも考えていく必要があります。
公害や地球環境破壊を規制する「公害対策基本法」や「環境基本法」による対策はもちろん、利便性や快適性に縛られず、「低炭素社会」「循環型社会]「自然共生社会」といった環境に配慮したライフスタイルを、社会が一丸となって目指す事が重要なのです。
大量のごみ、森林伐採、海洋汚染、地球温暖化、生物の危機等、これまでみてきたさまざまな環境問題は、実生活における影響を感じられないことが多いかと思われます。
しかし、便利で快適だと感じる生活を気ままに続けることは、地球環境の未来を奪っているという見方もできます。
「大量生産、大量消費、大量廃棄」の社会システムから脱却し、天然資源の消費を抑え、環境の負担を減らす循環型社会に向けて、「3R」が進められています。3Rとは、「Reduce」(ゴミを減らす)、「Reuse」(繰り返し使う)、「Recycle」(資源として再利用する)事です。
ひとりひとりの行動で防げることはたくさんあります。
排気ガスの多い自動車を使わず自転車を利用する、家電製品を省エネタイプのものに交換することで、大気汚染が抑制できますし、料理は食べきる量だけを作る、繰り返し使えるよう気を活用する、エコバックを持って食材を買いに行く、など、身近で簡単なことからこの3Rを進める事が出来ます。
厚さを感じる際には、涼しさを与えてくれる精油を活用し、冷房を控えめにするなどの工夫が出来るのではないでしょうか。
ひとりひとりが生活環境を見直す動きが拡大していけば、地球や自然にとっても大きな取り組みとなっていくと考えられます。
アロマテラピーの学習を通じて、花や緑などの植物は、自然環境にとって非常に大きな存在であることが理解出来たと思います。
町を歩いていて、緑や花を見て楽しむ野もよいですが、まずは小さな植物を育て、その香りや不思議さに肌で触れてみましょう。
芽生えた小さな自然への関心は、やがて大自然への関心に育ちます。
アロマテラピーとして植物の恵みである精油をよりよく知ることはもちろん、自然環境とつながっていることを意識し、日々の「アロマ環境」を維持するように心がけましょう。
アロマテラピーそのものを規制する法律はありませんが、安全にアロマテラピーを行うために十分理解して置かなければならない法律があります。
医薬品、医薬部外品または化粧品の製造業の許可を受けた者でなければ、それぞれ業として、医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造をしてはならない。(第1項)
この項目では、略称である「医薬品医療機器等法」と呼びます。薬事法が改正されたもので、2014年11月25日に施行されました。これは、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等の製品の製造、製造販売(市場への出荷、流通)などの取り扱いに関する法律です。
精油は医薬品ではありません。そのため、精油や芳香拡散器などを「医薬品」「医薬部外品」「科商品」「医療機器」として販売することは禁じられています。
精油は日本では「雑貨」扱いとされているので、特に規制はなく自由に販売することはできますが、〇〇の精油は✕✕という病気によく効く、という効果や効能の表示に加え、販売時に口頭で効果を伝えることも法に触れると考えられますので、取り扱いには注意してください。
消費者の保護と救済を目的に作られた法律です。消費者が製品の欠陥によって被害を受けた場合、製造業者(輸入業者も含む)に対して損害賠償責任を求める事が出来ます。
火災の予防や危険物の取り扱いなどについて定められてた法律です。個人で楽しむ程度の精油ならば、法的な規制を受けませんが、精油の揮発性や引火性を忘れないように注意しましょう。
また、アロマキャンドルでは直接火を使うため、注意をするようにしましょう。
あはき師法は、あん摩、マッサージ、指圧、はり、きゅうなどの医療類似行為を、免許のない者が業として行うことを禁じたものです。
アロマテラピートリートメントでは、精油を植物油で希釈したトリートメントオイルを使用し、これを体に塗りこむ行為は、あくまでリラクゼーションの為のサービスである事を自覚して行うようにしましょう。
医師法は、医師の免許制度や業務上の義務等が定められており、さらに医師以外の者が医業を行うことを禁止した法律です。
アロマテラピートリートメントにおいても、何らかの症状を見ての病気を診断や、治療じみた行為のような「診療」をしてはいけません。
また、精油は医薬品として認められていないので、薬のように使うことはやめましょう。
獣医師法は、医師法と同様に獣医師の免許制度や業務上の義務などが定められた法律です。
アロマテラピーでは、動物の診療行為をしてはいけません。ケアやトリミングなどは、違反行為には含まれませんが、動物と意思疎通することは難しいので、自分本位な考え方で動物に対してアロマテラピーを行わないようにしましょう。