固い地面から跳び上がっても、沼地のような柔らかい支持面からは跳び上がることは難しい。
このように、重力が支配している世界での姿勢の保持や銅には、支持面とそこに接地する身体部分がともに安定している必要がある。
身体の安定は関節の周りの筋肉が収縮することによって生まれるので、運動コントロールの獲得は、各関節での筋活動が成熟していく過程に依存するといえる。
1~2か月児は、哺乳での吸啜運動や腹臥位で頭を持ち上げようとしたり、抱っこで抗重力姿勢をとらされたりすることによって、頭筋の同時収縮を盛んに経験する。
また4~5か月児では、背臥位で手足を持ち上げたり、腹臥位で飛行用姿勢をとったりすることで、体幹の背筋、腹筋を同時に収縮させる。
このように拮抗する筋群を働かせる経験と通して、重力に抗する安定性が獲得さてていくのである。
まず頭部、体幹上部で安定性が獲得されるが、運動性の獲得はそれを基盤にして末梢の手・足に徐々に及んでいくという方向性をもつ。
4~5か月児は背臥位で盛んに手足を持ち上げるが、それと同時に、その時期に頭・肩と踵を床に押し付け、お尻を浮かせるブリッジ運動を行っている。
前者では中枢部を安定させることで末梢部に運動をつくり、後者では、反対に末梢部を安定させることで中枢部に運動を起こしている。
通常、このような2種類の運動を繰り返すことによって、中枢部と末梢部分はともに安定性を伴った運動性を獲得し、はじめはランダムであった動きが意思によってコントロールされるようになっていく。
この過程を分化という点から眺めてみると、安定性が獲得されるまでは運動は一体的であり、かつ全体的である。
1~2か月児は盛んに足を蹴るが、股関節が伸びると膝、足、足の指まで伸び切ってしまうように動きは各関節で分離しておらず、一体となって動いている。
また、頭が動くと腕や足が動いてしまうように、ある中枢部の動きが末梢部分を支配するという意味で、動きは常に全体的、協働的である。
体幹の安定性が獲得されると股関節を曲げても膝を伸ばしていられたり、その状態で足関節を背屈させたりするなど、各関節が分離した運動が可能妊ってくる。
これは特定の部分だけを動かせるようになるという意味で、選択的運動とも呼ばれる。