1筋の性状による分類
1)外傷性筋損傷
正常な筋に外力が作用して発生するもので、急性と亜急性の組織損傷に大別できる。
現実的には、筋の基礎的状態が損傷の背景として大きく関与しているものと考えられる。
筋柔軟性には個人差があることや、筋そのもののコンディション(疲労度)に変化があることなどは、その代表的なものといえる。
急性のものは、外力による荷重が組織の破断強度を超えたときに発生するものが最も多く、準備状態にないときに外力が加わった場合などにも発生する。
亜急性により発生するものは疲労性筋損傷であり、正常な筋に比較的軽度な外力が繰り返しあるいは持続的に作用し、その結果疲労状態におかれ発生するもので、例えば以下のような場合があげられる。
①疲労作業、スポーツにおけえる機械器具や各々の特性などにより持続的・継続的な(直達おるいは介達)外力が加わり微細な損傷を繰り返し起こすもの。
②不自然な姿勢で、就寝したりして片側の筋のみ強度に伸長した状態が長時間続いたりすると、起床時、筋はやや腫脹して、うっ血(局所循環障害)状態となり、熱感、疼痛、筋の運動制限あるいは不能となることがあり、いわゆる根違いといわれる。
③筋肉に加わる過大な荷重、長時間に加わる荷重、または同一・不良姿勢などの継続による筋緊張などが加わる際に起こる。過労性筋炎とよばれ筋肉の炎症状態で、うっ血し硬化する。
④一過性のもので時間的にも短時間であるが、筋肉が強く収縮するため運動が突然障害されると同時に幹部に疼痛が生じる。運動中に起こることが多いが安静時や睡眠時にも発生する。
筋痙攣と呼ばれ、腓腹筋(こむらがえり)、大腿後面の屈筋群、背筋に発生することが多い。
Ⅰ度:筋繊維の断裂は認められないが、筋の伸長により筋細胞の破壊などがみられるもの(筋が引き伸ばされた状態)。また筋繊維、筋周膜には変化がなく、筋間損傷が主なもの、筋力や可動制限をきたすことは少ないが、自動あるいは多動運動の際に損傷部に不快感や違和感、疼痛がある。
Ⅱ度:部分断裂損傷であり、一般に肉ばなれとよばれ、完全には断裂していないもの。圧痛と腫脹がみられ、筋収縮は可能であるが、疼痛のため収縮させられないことがある。局所に陥凹を確認できるものもある。
Ⅲ度:完全に断裂しているもの。筋腹間に陥凹があり、強い圧痛が出現し、断裂端は縮み腫瘤を形成する。筋肉の収縮は見られない。受傷後24時間前後に損傷部より抹消に皮下出血斑がみられることもある。スポーツ現場を例にとると、筋繊維が一度にまとまって断裂することは少なく、肉ばなれを繰り返したあとに起こると考えられている。
損傷の程度による分類
一般にはその程度により完全断裂と部分断裂に分けられる。
ここでは、Ⅰ~Ⅲ度に分類する。
完全断裂の発生が高いという報告もあるが、実際には正しく判断されないまま自然経過をたどっている部分断裂が圧倒的に多いと推測される。
外力の働き方による分類
1)筋繊維の正常な伸長範囲を超えた場合(いわゆる肉離れ)
この場合ただ単に筋が野庭有れるだけではなく、実際には回旋力なども加わっているものと考えられる。完全に断裂するものもある。
2)圧迫力が働いた場合(筋損傷)
打撲などの直達力により損傷されるもの、コンタクトスポーツに多く、部分損傷により血腫を形成し、治癒が長期にわたることもまれではなく、骨化性筋炎を起こすこともあるので注意を要する。
3)大きな負荷に対する急激な収縮が起こった場合
重量物を持ち上げたり、運搬した際に損傷されるもの
4)反復荷重が加わった場合
繰り返しの作業、同一姿勢による作業などにより損傷されるもの
5)持続的な緊張状態におかれた場合
一定の筋緊張が同一肢位で継続され損傷されるもの
6)持続的な伸長状態におかれた場合
筋の起始と停止が遠ざかったため筋伸長が継続され損傷されるもの
7)熱・化学物質による場合
激しい運動直後、血中に増加する化学物質などにより筋損傷(壊死)が起こるもので、運動直後にみる筋痛、ミオグロビン、クレアチンキナーゼなどの筋細胞内酵素が筋の壊死により血中に流出して上昇することにより証明されている。原因検索、損傷後の後療法、予防という点で重要となる。
筋損傷部と創部とおの交通の有無による分類
1)皮下(閉鎖性)筋損傷
創部と筋損傷との交通がない物
2)開放性筋損傷(治療対象外)
鋭利な刃物などの切創により損傷されることがある。
筋損傷の症状
陳旧性では硬結、腫瘤、陥没の蝕知、伸張度の低下、筋力低下などが見られる。