コアコンディショニングとは
1)コアの定義
①広義のコア:体幹部を構成するすべての骨格、それを支えるすべての筋肉、さらに動きの中で変化し得る軸や重臣の総称。
②協議のコア:体幹の深部にあり、腹腔壁を構成する筋群。横隔膜、骨盤底筋郡、腹横筋、多裂筋の4つの筋で構成される。(インナーユニット)
2)コアコンディショニングとは
人の発育・発達過程に沿って進められるコア機能再学習エクササイズである。
その目的は「すべての身体活動に通じる良好な姿勢」と「コアと全身が協調した効率的な動作」の獲得を促すことである。
3)コアコンディショニングピラミッド
用語の解説
アドバンストパッケージ | ベーシックセブン、リアライメントスリー、リセットスリーによってリセットを目的としたエクササイズ(指導)の流れ |
---|---|
リアライメントスリー | 肩関節・股関節・脊柱にアプローチするリアライメントを目的としたエクササイズ。 |
リアライメントパッケージ | あアドバンストパッケージのうち、ベーシックセブンとリアライメントスリーを行う。リアライメントを目的としたエクササイズ(指導)の流れ。 |
モチベーションテクニック | クライアントが持つ動因(欲求や願望)に対して、誘因(動因を叶える方法)を提示し、モチベーションさせる方法。 |
簡易ブロック姿勢評価 | 体を頭部、胸郭、骨盤、足部のブロックに分けて、その位置関係から姿勢を評価する方法。 |
クライエントの状態把握と目標設定
1)ヒアリング
- 目的:クライアントの状態把握とコンディショニングの対象か否かの判断(スクリーニング)
- 内容:動因の引き出し、主訴(痛みの有無、整形外科・内科疾患)の確認、運動実施状況の確認
- 留意点:傾聴を意識する
動因 | 欲求・願望のことで、「〇〇したい」「〇〇がほしい」など、クライエント自身が持っている要望のこと。 クライエントは必ず動因を持っている。 「リラックスしたい」「ストレス発散したい」「肩こりをよくしたい」これが動因となる。 |
---|---|
主訴 | 「クライアントが申し出る症状のうちの、主要なもの」とされ、体に起きている不定愁訴のこと。 「肩こり」「腰のだるさ」などが主訴となる。 |
①モチベーション
~したい(動因)にたいしてそれを叶える方法(誘因)を提示することでクライアントはやる気が起こる(モチベーションされる)
特に、ヒアリングの段階では動因を『聴く』ことに徹し、それに対し、解決方法として誘因の提示を行う。
セッション後のクライアントの満足度を大きく左右する要因と言っても過言ではない。
②動因の引き出し方
- 1つの動因から掘り下げて聞き出す
・「いつまでに」「どれくらい」「どのようになりたいのか」「なぜそうなりたいか」など
・これらを意識して聞くことでクライアントの動因が明確になっていく
- 優先順位をつける
・クライアントが持っている動因の中で、優先順位をつけてもらう
・最初に引き出した動因が必ずしも優先順位が1番とは限らない
③動因を引き出すための会話
あくまでも動因を持っているのは「クライアント」であるため、クライアントにしっかりとヒアリングを行って、動因を引き出していく。
『答えはクライアントの中にある』を念頭に、トレーナーのフィルターに通じて動因や目標を設定してしまわないように『傾聴』することを意識する。
リアライメントパッケージ
1)ベーシックセブン
- 目的:全身へのアプローチによるコア全体のリアライメント
全体をリアライメントすることで部分的なアライメント不良を見つけやすくする - 方法:ベーシックセブンに準ずる
- ツール:EXもしくはMX、ハーフカット(クライアントの状況により使い分ける)
ステップアップ②
極端な屈曲位(顎を引いた姿勢)や伸展位(顎を上げた姿勢)の場合、首回りの緊張が高いことがあげられる。これは折りたたんだタオルを首の下に入れることでリラックス出来ることが多い。タオルの高さの調節は、クライアントのもっとも心地よい高さに調整する。また、ポールオンの状態で頭部が正中位から外れている場合にもタオルを使い、眉間と胸骨柄をポールの真ん中に置くように修正する。
2)仰臥位チェック
- 目的:ベーシックセブン後の肩関節、股関節の状態の確認
- 方法:床の上で仰臥位での肩の浮き具合の左右差、足角度の左右差を見る
肩の浮き具合に左右差がある場合⇒リアライメントスリー①
足角度の左右差がある場合⇒リアライメントスリー② - 留意点:クライアントの党則から目線を低くしてみる
3)リアライメントスリー①肩関節へのアプローチ
※仰臥位チェックで肩の浮具合の白湯差があった場合のみ実施
- 目的:ベーシックセブンではリアライメントしきれなかった、肩関節周囲のリアライメント
- 留意点:パッケージになっている為細かな部分の個別対応に限界があるという点も十分に認識する
クライアントへのヒアリングを行い、ポジションを決定する
クライアントをしっかり見ながら狙っている動きを引き出す - ツール:ハーフカット、ソフト1/3(EX、MXでも代用可)
- 方法:上肢の重みを取る為、肩は軽度屈曲位にて実施する
リアライメントスリー①肩関節へのアプローチ[脇下ローリング/頭上ローリング]
【フォーム】
ハーフカット上での基本姿勢
【実施】脇下ローリングでは、基本姿勢のまま仰臥位チェック(肩)にて高かった方の前腕(肘付近)をポールに乗せ、小さく転がす。
【ポイント】前腕がポールに対して垂直になるように乗せると動かしやすい。腕の重みを支えるような位置にポールを置くことで、小さな方で肩を動かす事が出来る。
脇下ローリングでは手の平の向きはどちらでもよいが、頭上ローリングでは手の平を上に向けて小さく転がす。
仰臥位チェック(肩)にて高い方は必ず行うが、反対側も必要に応じて実施してよい。
4)リアライメントスリー②股関節へのアプローチ
※仰臥位チェックで足角度の左右差があった場合のみ実施
- 目的:ベーシックセブンではリアライメントしきれなかった、股関節周囲のリアライメント
- 留意点:リアライメントスリー①と同様
- ツール:ハーフカット、EXまたはMX
- 方法:下肢の重みを取る為、股関節は軽度屈曲位にて実施する
リアライメントスリー②股関節へのアプローチ
【フォーム】ハーフカット上での基本姿勢
【実施】①ワイパー運動、②膝ゆるめ、③つま先を同じ方向へ向けて膝ゆるめ
【ポイント】ポールに乗せる部分は踵かアキレス腱のあたりにする。体に対してポールが垂直になるように気を付ける。(斜めにならないようにする。)
5)ポールオンチェック
- 目的:ベーシックセブン後の脊柱の状態の確認
- 方法:ハーフカット上で基本姿勢での胸の高さの左右差、骨盤(上前腸骨棘)の高さの左右差を見る。
胸の高さの左右差がある場合 ⇒ リアライメントスリー③Aを実施
骨盤(上前腸骨棘)の左右差を見る ⇒ リアライメントスリー③Bを実施 - 留意点:クライエントの頭側から目線を低くしてみる
6)リアライメントスリー③脊柱へのアプローチ
※ポールオンで胸の高さ、骨盤の高さに左右差があった場合のみ実施
- 目的:胸椎・腰椎のリアライメント
- 留意点:パッケージになっているため細かな部分の個別対応に限界があるという点も十分に認識する
クライエントへのヒアリングを行い、ポジションを決定する
クライエントをしっかり見ながら狙っている動きを引き出す - ツール:ハーフカット、EXもしくはMX、ソフト1/3
- 方法
リアライメントスリー③脊柱へのアプローチ【A:側臥位ローリング・胸椎】
【フォーム】ポールオンチェックで高かった胸を下にして側臥位になる。脊柱と床が平行になるようポジショニング。ソフト2/3もしくはEX、MXを使用する。上肢をポールと直行させる。
【実施】上肢を遠くに送るようにしてストレッチポールを転がす。
【ポイント】腕だけの運動にならないよう、体幹の中心まで動きが伝わり、回旋するような感じで行う。胸椎付近の回旋を確認するようにする。
リアライメントスリー③脊柱へのアプローチ【B:側臥位ローリング・腰椎】
【フォーム】ポールオンで高かった腰を下にして側臥位になる。脊柱と床が平行になるようポジショニング。EXもしくはMXを使用する。股関節を90°位にし、菓子をポールに乗せる。太ももをポールと直行させる。
【実施】下肢を遠くに送るようにしてストレッチポールを転がす。
【ポイント】脚だけの運動にならないよう、体幹の中心まで動きが伝わり、回旋させるような感じで行う。
腰椎付近の回旋を確認するようにする。
ステップアップ③
側臥位ローリングを効果的に行うには脊柱が床と平行になっていることが理想である。そのため、下記のような工夫を行い適切なポジションをとる。
また、体幹の安定性が低く側臥位を維持できない方もいるので、クライエントへのヒアリングをしながら、こうした補助を入れることで適切な動きを引き出すことができる。
部位 | 補助例 |
---|---|
頭部~頚部 | ハーフカットやタオル、ソフトポールにて枕を作り、頸椎を平行にする |
下側の腕 | ハーフカットやタオルなどを手の甲の下に置いて肩まわりを脱力させる |
腰の隙間 | ソフトポールやタオルなどで隙間を埋め、腰椎を床と平行にする |
脚の間 | ハーフカットやタオルなどを挟み上側の脚が内転して骨盤の傾斜を防ぐ |
7)簡易ブロック姿勢評価(コンディショニング後)
- 目的:コンディショニングによるアライメント効果の確認と説明
- 方法:コンディショニング前からの変化を記入する
- クライエントへ伝える際には変化した事実をできるだけポジティブな表現で伝える