老化の原因とホルモンの関係、主なホルモンの種類について。
老化の原因
なぜ、年齢を重ねるにつれて若さが失われていくのでしょうか?
40代、50代となれば、筋力が落ちてぜい肉が増え、肌のツヤやハリが失われ、くすみやたるみが生じ、好きだったことが面倒になり、何事にも意欲がわかなくなったり、手足の冷えがひどくなったり、熟睡できなくなったりするなど、心身のあちこちで様々な不調や問題が生じます。
これらの原因として、加齢、運動不足、食べ過ぎ、疲労やストレスなどが考えられますが、一番の原因はホルモンの変化です。
若さの維持にかかわるホルモンの働きが低下すると、老化が早く進んでしまいます。
私たちの若さは、脳や身体の機能によって保たれています。
その機能の1つがホルモンです。
また、体内の酸化や糖化、基礎代謝の低下なども老化を促進させる原因となります。
性ホルモンの減少で酸化が進むと、老化はさらに加速します。
ホルモンとは
身体には各臓器、器官、組織の活動を統御して、さまざまな生理機能を運営する仕組みが備わっています。
それが神経系と内分泌系です。
神経系は全身に張り巡らされた電線のようなもので、膨大な神経細胞(ニューロン)からなり、電気信号(ンパルス)によって情報を伝達し、体内のすべての筋肉、機関、組織を効率よく働かせています。
内分泌系は、化学作用による複雑な生命機能です。
果亜g九物質を血中に流し、離れた部位にある臓器、器官、組織に情報を伝達します。
この化学物質がホルモンです。
ホルモンを分泌する器官は体内のあちこちにあり、それぞれ分泌するホルモンが異なります。
そして、ホルモンごとに受け取る細胞が決まっています。
ホルモンは、どこの細胞にどのように作用し、どのように働きを調整するかが決まっているのです。
アンチエイジングホルモンと老化ホルモン
現在までに発見されたホルモンは100種類以上あるといわれていますあ、「若さ」にかかわるアンチエイジングホルモンと、「老化」にかかわるホルモンを以下に紹介します。
アンチエイジングホルモン
メラトニン
器官:脳の松果体 通称:睡眠ホルモン
特徴と効能:眠りを導き、身体のリズムを作り、免疫力を高める。
抗酸化作用(老化を促す活性酸素を除去する作用)がある
セロトニン
器官:脳内 通称:幸せホルモン
特徴と効能:メラトニンと共に身体のリズムを作る。
精神を安定、リラックスさせる。
若さを維持する。
成長ホルモン
器官:脳下垂体 通称:若返りのホルモン
特徴と効能:筋肉や骨の量を保ち、エネルギー消費、脂肪の分解を促進。
筋肉、皮膚の弾力を強化する。
シワを減らす。
精神的健康を保つ。
DHEA(デヒドロエビアンドロステロン)
器官:副腎皮質 通称:マザーホルモン、若返りホルモン、長寿ホルモン
特徴と効能:ホルモンの中で最も多いホルモン。
女性ホルモン(エストロゲン)、男性ホルモン(テストステロン)のもととなる。
若々しい肌、骨、筋肉、脳を保つ。
肥満や動脈硬化、骨粗鬆症を予防。
運動により増加。
特にウォーキング、ジョギング、ステップ運動、サイクリング、登山などの下半身を動かす運動が効果的。
エストロゲン
器官:女性は卵巣(男性は精巣から少量分泌) 通称:卵胞ホルモン、美肌ホルモン
特徴と効能:女性ホルモンの一種で妊娠の準備を担う。
抗酸化作用がある。
テストステロン
器官:男性は精巣(女性は副腎や卵巣、皮下脂肪から少量分泌) 通称:やる気ホルモン、元気ホルモン
特徴と効能:男性ホルモンの一種。
骨や筋肉の発達を増強する。
性欲、生きる活力を生み出し、前向きな気持ちになる。
抗酸化作用がある。
ビタミンD
器官:- 通称:-
特徴と効能:ビタミンの一種だが、ホルモンとして働く。
腎臓や全身の細胞で活性型ビタミンDとなる。
カルシウムの吸収を高め、丈夫な骨を維持する。
筋肉量、筋力を保持する。
免疫力を高める。
アンチエイジング効果もある。
老化ホルモン
インスリン
器官:膵臓 通称:-
特徴と効能:糖代謝を促し、血糖値を一定範囲内に保つ。
各細胞にエネルギー源のブドウ糖を供給し、余ったエネルギー源をグリコーゲンや脂肪として貯蔵する。
血糖値が高く、インスリン分泌量が多いと、脂肪の蓄積量も増えて肥満となる。
その結果、インスリンの働きが低下し、糖尿病や動脈硬化の原因となり、老化が進行する。
コルチゾール
器官:副腎 通称:抗ストレスホルモン、ストレスホルモン
特徴と効能:ストレスが加わると大量に分泌され、身体の緊張状態を保つ。
筋肉やグリコーゲンを分解し、緊急時のエネルギー源を確保。
ストレスが持続するとアンチエイジングホルモンの分泌を抑制し老化を促す。
さらに過剰にストレスが加わると、副腎疲労となり、コルチゾール分泌低下を引き起こし、老化が加速する。
ホルモンはほかにもたくさんあります。
脳下垂体から「恋愛ホルモン」と呼ばれるオキシトシン、副腎髄質から「興奮ホルモン」と呼ばれるアドレナリンなど、馴染みのない名前で、働きも多岐にわたりますが、どのホルモンも日常生活と密接にかかわっています。
若さを保つためには、老化ホルモンを増やさずに、アンチエイジング、若返りのホルモンを増やす生活を心がけることが重要です。
睡眠、食事運動、日常の活動などの生活全般を改善、工夫することはもちろん、若さのメカニズムを理解して生活を見直すように促しましょう。
ストレスとアンチエイジングホルモンの関係
過度のストレスはアンチエイジングホルモンの分泌を抑制します。
若さを保つためにはストレスの原因を認識して、ストレスから身体を防御し、保護しなければなりません。
ストレスの情報はまず大脳(中枢神経)に伝わり、その下にある視床下部に伝わります。
視床下部は内臓から皮膚まで様々な機能をコントロールする司令塔です。
自律神経やホルモン、食欲の中枢、体内時計もここにあります。
視床下部は、自律神経と内分泌の2つのルートで情報を流しています。
自律神経のルートでは、ストレスを受けると交感神経の働きが強くなり、副腎からストレスに対応するホルモン、ノルアドレナリンとアドレナリンが分泌されます。
もう一つの内分泌のルートでは、副腎皮質からストレスを対抗するホルモン、コルチゾールが分泌されます。
このように自律神経とホルモンは密接に関係しています。
これらの抗ストレスホルモンによって、私たちはストレスをしのぎ、心身の健康を保つことができるのですが、過剰な状態が続くと心身の健康が失われるのです。
ノルアドレナリンやアドレナリンが過剰な状態では、心臓や血管の負担が大きくなり、心臓病や高血圧、脳血管障害などのリスクを引き起こします。
コルチゾールの過剰な状態では、筋肉量の減少、食欲増加による肥満、免疫力低下による感染症などを引き起こします。
そして、ストレスによる過剰なコルチゾールは、DHEAや成長ホルモン、性ホルモンなどの若返りのホルモン、アンチエイジングホルモンの分泌を減少させるのです。
そこで、アンチエイジングのためには、ストレスを回避防御するための技法、リラクゼーション反応の誘発が必要なのです。
リラクゼーション反応とは、交感神経支配から副交感神経支配へと変わる、自律神経系の役割交替を言います。
リラクゼーションは休息という意味ではありません。
神経系に影響を与える積極的な技法であり、呼吸法、瞑想、ヨガ、ボディーワーク(マッサージ)、音楽鑑賞、散歩、入浴、アロマテラピーなどを意味します。
交感神経と副交感神経
自律神経では、交感神経と副交感神経がバランスよく働いて、各器官の働きを調整しています。
両者は一方が強くなれば、一方が弱くなるシーソーのような関係になっています。
自律神経のしくみ
交感神経が働くと | 副交感神経が働くと |
---|---|
活動している | 眠っている |
エネルギッシュ | リラックスしている |
瞳孔が開く | 瞳孔が収縮している |
心拍数が上がる | 心拍数が下がる |
血管が収縮 | 血管が拡散 |
血圧が上がる | 血圧が下がる |
気道が拡散 | 気道が収縮 |
胃の活動が抑制 | 胃の活動が進む |
消化液の分泌が抑制 | 消化液の分泌が高まる |
膀胱が拡張し排尿を抑える | 膀胱が収縮し排尿する |
鳥肌が立つ | 毛穴が開く |
汗がねばねばする | 汗がさらさらする |
白血球が増加 | 白血球が減少 |
呼吸が速くなる | 呼吸がゆっくりになる |