ソラコンの基礎知識
胸郭の構造
胸郭は、肋骨・胸骨・胸椎で構成されており、内部には小さな関節が多く存在している。
そのため、どこかに歪が生じると胸郭全体にそのひずみが広がってしまう。
胸郭の動き
胸郭は小さな関節と多くの骨で構成されているため、動きはとても多様性であり、可動性も高い。
その動きに関わっている肋骨の動き方の特徴を知ることが、姿勢の崩れのメカニズムをひも解き、、ポール上で、リアライメント効果を引き出すポイントにつながる。
上部肋骨は井戸のポンプのような動きと表現され、吸気時には胸の上部が上に引きあがるような動きとなる。
下部肋骨はバケツの取っ手のような動きと表現され、吸気時には横に広がる様な動きとなる。
ポール音の胸郭へのメリット
ストレッチポールに脊柱を乗せて仰向けに寝ると、後頭部、胸椎、仙骨の3点がストレッチポールと接し、下から押し上げる力を受ける。
この力により胸郭には次のような作用が働く。
- 胸椎が伸展し、胸郭が拳上する。
- 胸郭背面の運動域が広がります。
- 肩甲骨の内転と下制の位置になります。
- 頭部後方変位、上位交差症候群改善
胸郭と関連する姿勢の崩れ
胸郭のアライメントが崩れてしまうことで、連鎖するように起きてしまいやすい姿勢の崩れの1例を挙げます。
胸郭は身体に多くの影響があるので、リアライメントすることにより胸郭だけでなく、身体のほかの部位も整える相互効果も期待できます。
①頭部前方変位(Chin out) 顎が前にでた姿勢 | ![]() |
②肩甲骨外転位 いわゆる猫背姿勢 | ![]() |
③上位肋骨の下垂 胸が薄くなる姿勢 | ![]() |
ソラコンの効果
エクササイズ全体の効果
効果 | 要因 |
---|---|
身体が捻りやすくなる | 胸郭のリアライメントにより可動域が向上 |
腕があげやすくなる | 胸椎の伸展可動域が広がる。肩甲骨が適切な位置になる。 |
姿勢の安定性が高まる | 重心位置が適切な位置関係になる |
呼吸がしやすくなる | 胸郭の動きがよくなる |
各エクササイズの狙い
エクササイズ | 狙い |
---|---|
ソラコン①(胸郭スライド) | 中部胸郭のモビライゼーションによる可動域拡大 |
ソラコン②(クレッセント) | 胸郭の側屈可動域の拡大 |
ソラコン③(コーン) | 上部胸郭のモビライゼーションによる可動域拡大 |
ソラコン④(ツイスター) | 下部胸郭のn横径拡大 |
ソラコン⑤(肩交互回旋) | 肩甲骨後傾・内転のリアライメント |
ソラコン⑥(チンインエクササイズ) | 頭頚部のリアライメントと安定化 |
ソラコンの実施
ソラコン
- 目的:胸郭の左右対称化、胸郭可動性の対象化、インナーユニットの機能改善
- ツール:EXもしくはMX、ハーフカット
- 方法
ソラコン①[胸郭スライド]
【目的】
胸郭背面のモビライゼーション
【声掛け例】
「胸郭を左右にスライドさせるようにします。水平に動くようにしましょう。」
【ポイント】
大きすぎる動きにならないようにする。
脚で踏ん張らないようにする。
スライドさせた方に体が傾かないようにする。
ソラコン②[クレッセント(三日月ストレッチ]
【目的】
胸郭の側屈可動域拡大
【声掛け例】
「右手を頭の上に伸ばし、左手は足の方へ伸ばします。
右側のカラダの横を伸ばしましょう。
【ポイント】
頭と骨盤はストレッチポールから落ちないように行う。
手をあげることよりも胸郭が開くことを意識させる。
呼吸と連動させて胸郭の動きを体感させる。
ソラコン③[コーン(上肢円錐運動]
【目的】
胸郭上側のモビライゼーション
【声掛け例】
「左手で右手首を掴みます。左手で右手を持ち上げるように引き上げて、左手で右手を小さく回しましょう。」
【ポイント】
掴まれている腕はできるだけ脱力する。
腕を回すだけではなく肩甲骨の動きを体感させる。
体幹は安定させ、腕中心の動きになるように誘導する。
ソラコン④[ツイスター(胸郭回旋ストレッチ)]
【目的】
胸郭下側の横の広がり
【声掛け例】
「右手で左手首を掴み、右側へ引くように倒します。足は左側へ少し倒し、体をねじるようにしましょう。」
【ポイント】
頭と骨盤はストレッチポール上から落ちないように行う。
手を引っ張る事よりも胸郭が捻れることを意識させる。
呼吸と連動させて胸郭の動きを体感させる。
ソラコン⑤[肩交互回旋]
【目的】
肩甲骨の後傾・内転の促進
【声掛け例】
「肘を支点に左手を頭の方へ、右手を足の方へ倒します。上半身が捻られるように行います。反対側と繰り返して行います。」
【ポイント】
肩甲骨から動かすように意識させる。
胸郭が捻られるような動きを体感させる。
肩の可動域に制限がある場合は無理の内容に行う。
ソラコン⑥[チンインエクササイズ]
【目的】
頸椎の安定化
【声掛け例】
「顔を水平にしたまま、頭をポールに押し付けるようにします。首の後ろが伸ばされるようなイメージで行いましょう。」
【ポイント】
頸椎の屈曲伸展を起こらないようにして後頭部をポールに押し付ける。
呼吸が止まらないように注意する。