地球の1日と体内時計の1日は、30分ズレている
人間のあらゆる細胞には1日のリズムを刻む『体内時計』が備わっています。
朝になると目が覚めて、夜になると眠くなり、活発に活動する日中には体温や血圧が上がり、休息が必要な夜になると下がるのは、体内時計の刻む1日周期のリズム(概日リズム)の働きによるものです。
地球の1日は24時間ですが、人間の概日リズムはほぼ24.5時間です。
1日に30分ズレていますが、人間の体には、これを調節するメカニズムが2つあります。
体内時計をリセットするしくみ
光による刺激は、網膜を経由して、脳の視交叉上核に伝わり、視交叉上核は松果体にメラトニンの分泌を抑制する命令を出します。
血液中のメラトニンの量は、昼間は少なく身体が活動中の状態に。
夜は増えて身体が急速の状態になり、眠くなります。
朝食によ刺激は、消化管から栄養素が吸収されることで、各臓器が刺激され、体内時計がリセットされます。
体内時計をリセットする光の刺激と食の刺激
1つは、『光による刺激』です。
体内時計の親時計は脳の中心部の視交叉上核という部分にあります。
朝、目を覚まして光が目の網膜に入ると、その刺激が視交叉上核に伝わり、視交叉上核はメラトニンというホルモンの分泌量を調節することで、全身の体内時計に開始時刻をリセットするよう命令するのです。
もう一つは『食による刺激』です。
起床して朝食をとることで、胃、肝臓、膵臓、血管など抹消の臓器が刺激を受け、その刺激が全身に伝わって、視交叉上核を経由せずに体内時計がリセットされます。
つまり食事を摂れば、光の刺激がなくても体内時計をリセットできるのです。
これらのしくみにより、体内時計を1日24時間周期で動かすことができるのです。
概日リズムが崩れた状態の生活を続けると、毎日が時差ボケのような体調不良を招き、肥満や生活習慣病のリスクも増えてしまします。
このような体内時計を考慮した食事のあり方を『時間栄養学』と呼んでいます。
時間栄養学を考えた食事
効果的に体内時計をリセットするためには、夜は間食をせず、何も食べない時間を十分に空けて、朝の決めた時刻に朝食をしっかりとります。
食事は炭水化物、たんぱく質、脂質のバランスがとれていないリセット効果が不十分。
効果の大きいGI値の低い食品もおすすめ。
また、肥満予防には、夕食は早めに摂りましょう。
脂肪組織で脂肪合成を促進するたんぱく質の働きは、夜遅くなるほど活発になります。
脂肪を増やさないためには、過食を控えるだけでなく、食べる時間も重要。